羽子板は柄のついた長方形の板ですが、ただの板ではなく縁起物でおめでたい特別な板です。
歴史は室町時代にまで遡るといわれており、この時代に書かれた文献に記述が残っています。
記述の内容は、正月にこの羽子板を用いたというもので、これが歴史を知る上での貴重な文献の1つです。
当時は胡鬼板と呼ばれていましたが、この板で突く羽根のことを胡鬼子といいました。
実は更に古い文献にも記述があり、宮中で勝負が行われたという記録が残っています。
いずれにしても、歴史を遡れば500年以上も前に誕生していることが分かりますし、古い歴史のある板だといえます。
魔除けの道具として広まり定着
最初は羽根突きの道具の扱いでしたが、やがて厄払いにも用いられるようになり、魔除けの道具として広まり定着しました。
女性に贈る習慣もこの時代にはできていたとされ、一般に広まったのは江戸時代に入ってからだといわれています。
江戸時代には歌舞伎役者などがモチーフの羽子板がブームとなり、元禄時代以降に遊ぶ道具の形で広まりました。
これが一般における普及で、正月に売られたことから冬の遊びの道具で、縁起物として愛されることになったと思われます。
ちなみに歌舞伎役者がモチーフのものは押絵羽子板と呼ばれ、姿かたちがリアルに再現されているのが特徴です。
雛人形のように職人が腕を競うようになり、豪華な作りのものが求められるようになった結果、金箔などが使われた高級品も誕生しています。
しかし、豪華さがとどまるところを知らず、幕府の目に留まったこともあって、高級なものの販売が禁止されてしまいました。
そんな中でも職人は工夫を凝らし、高級路線以外で腕を競い合ったり、独自性のあるデザインや作りを追求することとなります。
文政時代になると押し絵の技術が発展したこともあって、歌舞伎俳優だけでなく人気俳優を始めとした有名人がモチーフに使われるようになりました。
技術的な研究や発展はその後も続き、明治時代になってからも新技術を用いた商品が生まれ、種類が増えました。
現在でも実用性のある商品が販売されていますが、同時に魔除けや美術品も作られています。
羽子板といえば東京の羽子板市が有名
実は海外に輸出を考える企業も存在しており、工芸品としてアメリカや欧米諸国で展開を目指している状況です。
東京では都による伝統工芸品の指定が行われていますから、国内外を問わず魅力をアピールできるチャンスだといえるでしょう。
少なくとも歴史があるのは確かですし、飾って使えてしかも縁起物ですから、輸入に成功すれば贈り物としても活用される可能性があると考えられます。
羽子板といえば東京の羽子板市が有名で、江戸時代から毎年12月に開催されており、多くのお客さんが訪れて賑わいを見せます。
近年は雛人形の老舗メーカーも出展していますから、更に知名度が上がり注目が集まっています。
根強い人気の理由はやはり豊富なデザインで、職人の技術を手にとって感じられることもその1つです。
既存のデザインや定番もありますが、それでも毎年のように生まれるデザインからは目が離せないわけです。
縁起物として飾ったり贈る場合は、子供の健やかな成長の願いが込められます。
デザインは主に古典と振袖、ケース入りや額入りに分けられ、手頃なものから高額な商品までラインナップに並びます。
古典的なタイプは振袖ではありませんが、シンプルなのに着物が美しく、デザイン的に完成されていることが分かります。
ただ近年は振袖タイプに押されており、よりゴージャスなデザインに人気が集まっている傾向が窺えます。
古典タイプは比較的地味に見えてしまう
古典と振袖のいずれにもケース入りが存在しますが、古典タイプは比較的地味に見えてしまうので、人気はケースなしと同様に振袖に譲ります。
とはいえ、味わい深さを感じさせる魅力があるのは間違いないので、古くから所有する家庭では今も飾られることが少なくないです。
ケース入りには飾りつきもあって、背景を含めてよりゴージャスに飾れるのが魅力です。
縁起物より飾って楽しむのに向いているタイプですから、縁起物の印象が強い人には多少なりとも抵抗感があるでしょう。
といっても昔から美しく飾り子供の成長を願う為のものなので、何故おめでたい物なのか理由を知っていれば問題ないはずです。
額入りは絵のように額縁におさめられているタイプで、壁掛けだけでなくスタンドに置いて飾ることもできます。
このように様々なタイプがあるわけですが、土産物としては手頃で飾る場所を選びにくいシンプルなタイプが人気です。
価格帯は本格的な作りだと5万円どころか10万円以上が当たり前ですが、1万円未満でも購入できます。
まとめ
これは海外向けのお土産の用途も視野に作られているもので、作りは高価格帯のものとは流石に違いますが、現代的なデザインで受け取る人を選びにくいのがポイントです。
価格的に手頃で購入のハードルが下げられていますから、広く認知されたり文化を残す意味でも、こういった手頃な価格帯の商品の重要性は小さくないです。
最終更新日 2025年6月9日