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意外と知らないモデル事務所の収益構造を深掘り解説

「モデル事務所って歩合だけで儲けてるんでしょ?」

そんな風に思ってる人、きっと多いはず。

でも実際は、もっと複雑で面白い仕組みになってるんです。

高校時代にInstagramでスカウトされた私が、その後メディア業界で働いて見えてきたのは、モデル事務所の収益構造が想像以上に多層的だったということ。

特にSNS時代に入ってから、事務所の稼ぎ方は劇的に変わりました。

この記事では、そんな「見えないお金の流れ」を、できるだけリアルに解説していきます。

きっと読み終わる頃には、モデル事務所との付き合い方や、自分のSNSの活用法についても新しい視点が得られるはず。

モデル事務所の「基本の稼ぎ方」をおさらい

キャスティング手数料と歩合の仕組み

まず基本的な話から。

モデル事務所の給与形態は大きく3つに分かれています。歩合制、固定給料制、そして歩合制+固定給料制の組み合わせです。

歩合制は、仕事をした分だけ収入になる仕組み。

仕事が多ければ多いほど稼げるけど、仕事がなければ収入はゼロ。

固定給料制は、毎月決まった金額がもらえる代わりに、どんなにブレイクしても給料は変わらない。

でも実際のところ、多くの事務所が採用してるのは歩合制+固定給料制のハイブリッド型。

最低限の生活費は保証しつつ、頑張った分だけ上乗せされる仕組みですね。

スタジオ・レッスン費など”見えない”内訳

ここからが本題。

事務所の収益って、実はモデルからの取り分だけじゃないんです。

レッスン費の相場を見てみると、優良事務所で月8時間=15,000円、限界で月16時間=25,000円程度。月3万円を超える事務所は避けるべきとされています。

つまり、所属モデルが多ければ多いほど、レッスン費だけでもかなりの収入になる。

例えば100人の所属モデルがいて、平均月2万円のレッスン費だとすると、月200万円の安定収入です。

さらに宣材撮影費、オーディション参加費、交通費なんかも積み重なると結構な金額に。

ギャラの流れ:クライアント→事務所→モデル

基本的な流れはこう。

  1. **クライアント(ブランドや代理店)**が事務所にオファー
  2. 事務所がモデルをキャスティング
  3. 撮影実施後、クライアントが事務所に支払い
  4. 事務所がマネジメント料(通常20-50%)を差し引いてモデルに支払い

モデル事務所では、モデルは個人事業主として扱われ、報酬からマネージメント料を引いた額をギャランティーとして受け取ります。

スカウト経験者が感じた「想定外のコスト」

私がスカウトされた時に驚いたのは、「無料」と言われたレッスンにも、実は細かい費用がかかったこと。

スタジオ使用料、ヘアメイク代、衣装レンタル代…。

一回一回は小さな金額でも、積み重なると月数万円になってました。

これって、モデル側には「必要経費」だけど、事務所側には「収益源」なんですよね。

SNS時代に伸びる新たな収益源

インフルエンサーマーケティングとタイアップ案件料

ここからが本当に面白いところ。

インフルエンサーマーケティング市場は継続的に成長しており、企業の新たな収益源として注目されています。

従来のモデル業界って、基本的に「撮影ありき」だったんです。

でも今は、モデルが自分のInstagramに商品を投稿するだけで、数十万円の案件になることも。

しかも撮影費用もスタジオ代もかからない。

事務所としては、めちゃくちゃ利益率の高いビジネスなんです。

具体的な相場はこんな感じ:

  • フォロワー1万人:1投稿あたり5-10万円
  • フォロワー10万人:1投稿あたり20-50万円
  • フォロワー100万人:1投稿あたり100万円以上

事務所が30%のマネジメント料を取るとすると、フォロワー10万人のモデル10人で月1000万円規模の収益も夢じゃない。

自社EC&デジタルコンテンツ販売モデル

最近増えてるのが、事務所が自社でECサイトを運営するパターン。

所属モデルがプロデュースした商品を販売したり、デジタル写真集を売ったり。

ここでのポイントは、中間業者を挟まないこと。

事務所提携モデルの90%以上が芸能事務所に所属していないフリーモデルで、数多くの中間マージンが発生する通常のインフルエンサーマーケティングと異なり、最少コストでのプロモーションを実現しています。

つまり、従来のように代理店→クライアント→事務所という流れじゃなく、直接ファンに販売することで利益率を最大化してるんです。

ライブ配信&ファンコミュニティ課金の可能性

これは完全に新しい収益源。

所属モデルがライブ配信をして、視聴者からの投げ銭や有料配信で稼ぐ。

月額ファンクラブみたいな仕組みも増えてきてます。

  1. 投げ銭収益:月数万円~数十万円
  2. 有料ファンクラブ:月額500-3000円×ファン数
  3. 限定コンテンツ販売:写真集、動画など

事務所としては、配信環境を整えるだけで、継続的な収益が見込める。

しかも24時間365日、いつでも稼げる可能性がある点が画期的です。

コスト構造とリスクマネジメント

トレーニング・育成投資はどこまで回収できる?

事務所運営で一番難しいのが、この投資回収の判断。

撮影スタジオ賃料は坪1-2万円程度、電気料金は月2,000-4,000円/坪かかります。

例えば30坪のスタジオなら、家賃だけで月30-60万円。

レッスン講師料、機材メンテナンス費、光熱費を合わせると、月100万円以上のランニングコストに。

これを回収するには、相当数の所属モデルと安定的な案件が必要。

でも現実は、デビューしても活躍できるモデルは全体の1-2割程度。

つまり、8-9割のモデルは「赤字」なんです。

その赤字を、トップモデルの収益でカバーする構造になってる。

地方でも事情は似ていて、名古屋のモデル事務所でも約70名規模から400名以上規模まで様々で、東海圏を中心に関東・関西エリアまでカバーする事務所が増えています。

特にモデル事務所 名古屋で活動を始めたい人向けの詳しい情報を見ると、地方事務所ならではの収益戦略の工夫が見えてきます。

海外進出&多言語対応にかかる費用

グローバル展開を考える事務所も増えてますが、これがまた大変。

  1. 海外エージェンシーとの提携費用
  2. ビザ・滞在費のサポート
  3. 現地スタッフの人件費
  4. 通訳・翻訳費用

海外で成功すれば1案件で数百万円の収益も期待できるけど、初期投資だけで数千万円かかることも。

リスクとリターンのバランスが非常にシビアな分野です。

契約書に潜むリスクと救済条項

マネジメント契約書では、タレント等がそのプロダクションに独占的にマネジメント権を付与する旨を定めることが多く、その代わりにタレント等はプロダクションから一定の報酬を受け取ります。

でも契約書って、意外と事務所に有利な内容になってることが多い。

よくあるリスク

  • 退所時の違約金条項
  • 競業避止義務(同業他社への移籍禁止)
  • 肖像権の長期使用許可

最近は、こうしたリスクを避けるため、期間限定契約部分的専属契約を選ぶモデルも増えてます。

ケーススタディ:Z世代向け次世代事務所

バーチャルモデル/AIタレントで稼ぐビジネスモデル

これ、本当に革命的だと思う。

AIモデル・AIタレントが広告業界で本格活用開始しており、著名人の肖像使用料不要で運用効率化とコスト最適化を実現しています。

伊藤園のお茶のCMに出てたAIタレント、覚えてますか?

あれ、人間じゃないんです。

AIモデルのメリット

  • スケジュール調整不要
  • 体調不良なし
  • スキャンダルリスクゼロ
  • 24時間365日稼働可能

AIモデル事務所では年間使用料一律3万円という驚きの安さを実現してるところもあります。

人間のモデルなら1回の撮影で数十万円かかるところが、AIなら年間3万円。

コスト削減効果は圧倒的です。

サブスク型「クリエイターシェア」事務所の台頭

従来の事務所は「所属」という形だったけど、最近は「シェア」型が増えてる。

仕組み

  1. モデルが月額1-3万円でサービス利用
  2. 事務所は案件情報、スタジオ、機材を提供
  3. 獲得した案件の利益は**モデルが80-90%**取得

つまり、事務所は「場所貸し」に近い感覚。

モデル側のメリットは大きいけど、事務所側は安定収益を確保しにくい。

でも、多くのクリエイターが参加すれば、月額料金だけでもかなりの収益になります。

共創コミュニティを活かしたマイクロレーベル戦略

これが一番面白い。

事務所が「ハブ」になって、モデル、フォトグラファー、ヘアメイク、スタイリストがフラットに協力し合う仕組み。

具体例

  • モデルAがブランドBとコラボ企画を立案
  • フォトグラファーCがクリエイティブを担当
  • ヘアメイクDがトータルコーディネート
  • 事務所は場所と機材を提供、利益は全員で分配

従来の「事務所が上、モデルが下」という関係じゃなく、対等なパートナーシップ

Z世代の価値観にもマッチしてるし、クリエイティブの質も上がりやすい。

これからのモデル事務所とモデルの関係性

“人を売る”から”発信の場をつくる”へ

私が一番感じてる変化がこれ。

昔のモデル事務所は、モデルを「商品」として売ってた。

でも今は、モデル自身が「メディア」になってる。

つまり事務所の役割は、モデルが自分らしく発信できる環境を整えること

具体的には

  • SNS運用のサポート
  • コンテンツ制作の技術指導
  • ファンとのコミュニケーション方法のアドバイス
  • ブランディング戦略の相談

モデルが自分で稼げるようになれば、事務所も継続的な収益が見込める。

Win-Winの関係が作りやすいんです。

ジェンダー&ダイバーシティ視点と収益の両立

これも重要なポイント。

ランウェイモデルや専属モデルといった、外見・内面のブランディング、憧れや実在性を求められるモデルタイプはこれからも人間が必要だと考えられています。

つまり、多様性を求める時代だからこそ、いろんなバックグラウンドのモデルが求められる。

年齢、体型、人種、性別…従来の「モデル像」にとらわれない人材が活躍してる。

事務所としても、幅広いニーズに対応できる方が収益機会も増える。

ダイバーシティは、倫理的に正しいだけじゃなく、ビジネス的にもメリットがあるんです。

透明性とエンパワーメントをどう実装するか

Z世代が求めてるのは、フェアで透明な関係

契約内容、収益分配、キャリアパス…すべてをオープンにする事務所が増えてます。

実装例

  1. 収益シェアの可視化:アプリで月次収益をリアルタイム確認
  2. キャリア支援プログラム:引退後のセカンドキャリアもサポート
  3. メンタルヘルスケア:専門カウンセラーとの提携
  4. 教育プログラム:ビジネススキル、IT スキルの習得支援

要するに、モデルの人生全体を考えた事務所運営。

短期的な利益より、長期的な関係性を重視する方向にシフトしてます。

まとめ

モデル事務所の収益構造は、この数年で劇的に変化しました。

従来:歩合制中心、撮影案件メイン、事務所主導

現在:多様な収益源、SNS・デジタル重視、パートナーシップ型

未来:AI活用、コミュニティ型、透明性重視

特に注目すべきは、モデル個人の発信力が収益の中心になりつつあること。

事務所は「管理する側」から「サポートする側」に変わってる。

そして何より、テクノロジーの力で従来のコスト構造が大きく変わってきてます。

AIモデルの台頭、サブスク型サービス、ダイレクトなファンとの繋がり…。

これらすべてが、モデル事務所の新しい収益モデルを作り出してる。

だからこそ、モデルを目指す人も、すでに活動してる人も、自分自身をメディア化することを考えてみてほしい。

あなたのInstagramは、もう立派な「自社メディア」。

それをどう活用するかで、キャリアの可能性は無限に広がります。

今こそ、新しい時代のモデル業界を、自分らしく歩んでいきましょう。

最終更新日 2025年6月9日